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MISTY CASTLE -ファーストkiss☆物語 新たな物語- −1−
季節は冬。まだまだ肌寒い。しかし、それも今に始まったことではない。
私はいつもと同じように起きて、制服に着替えてから朝食を作るために台所に立つ。
ここまではいつも通り。だが、今日は朝から何となく気分が冴えない。
何故なら今日から家に人が泊まりに来るからである。
しかも男の人。更に言えば1日ではない。1ヶ月もである。
男の人が苦手な私には、1ヶ月間も同じ家に住むことに堪えられるかどうかは分からなかった。
「はぁ、男の人・・・かぁ・・・」
溜息が漏れる。家族が集まって朝食を取っている時もずっと同じ。
真奈美やお母さんに
「香奈、大丈夫?」
「どうしたの、お姉ちゃん。なんか今日はいつもと違って溜息ば〜っかり」
と言われてしまう始末。
「ううん、別に・・・何でもないの。心配かけてごめんなさい」
気まずい空気が流れる。その中で真奈美が話し始めた。
「そういえば、今日から家に男の人が泊まりに来るんだよね?」
「そうよ。芳彦君っていってね、私の大学時代の知り合いの息子さんなの」
「へぇ〜」
「たしか、今は微風高校の3年生のはずよ」
お母さんがそう言いながら私の方を見る。
微風高校・・・それは、私の通っている高校。
つまり今日家に来るのは私の先輩にあたる人ということになる。
どう考えても良い噂にはなりそうにない。
実際のところ、私は今回の件に心の底から賛成はしていなかった。
しかし、あくまで1ヶ月だけというので、仕方なくOKしたのだ。
だが、いざ当日になってみると、どうも落ちつかない。
「香奈、本当に大丈夫?」
「・・・・・」
「香奈・・・」
「あっ、何、お母さん」
「そんなに男の人が家に泊まることが心配?」
「いや、別にそういうわけじゃあ・・・」
実はかなり図星をさされているのだが、そんなことは間違っても口にしない。
そんな私にお構いなしに
「大丈夫よ〜、もし変なことをされたら、追い出せば良いんだから、ね?」
笑いながらお母さんがそう続けた。
その言葉は本気か、それとも冗談か、よくは分からなかった。
「う・・うん・・・」
「大丈夫だってば、お姉ちゃんが思ってるほど、男の人は悪い人じゃないよ」
「そうよ香奈、男の人全てが悪い人ってわけじゃないわ」
私はお母さんの言葉の裏に、悪い人もいる、という意味が含まれていることを悟った。
今日家に来る人がそうでなければ良いのだが。


−2−
(キーンコーンカーンコーン・・・)
「よし、今日の授業はここまで。次回までにしっかりと復習してくるように!」
終業のチャイムと同時に先生が教室から出ていく。と同時に綾華が私のもとに走り寄って来る。
「ねぇ、香奈ちゃん。今日から男の人が泊まりに来るんでしょ?」
「う・・・うん」
七瀬綾華、同じクラスで唯一今日の事を知っている人。
「いいなぁ〜、いいなぁ〜」
「でも、1度も会ったことがない人なのよ?どんな人かも分からないのに家に泊めるなんて・・・」
「どんな人なんだろう?かっこいい人だったら良いなぁ〜♪」
綾華の耳には既に私の言葉は届いていないらしい。どうやら今日家に来る男の人のことで頭が一杯のようだ。
「ちょっと綾華」
「あっ、香奈ちゃん。もし〜、その男の人がかっこいい人だったら〜、あたしに紹介してね?絶対だよ?」
私の思いを余所に、綾華は休み時間が終わるまでずっと男の人のことを訊いてきた。
私は仕方なく分かる範囲で説明をした。もちろん、その男の人が、学校の先輩であることも。


−3−
微風高校、高校3年生の教室。いつもと変わらず俺は由希子、綾乃の2人と話をしていた。
「あっ、そういえば・・・」
由希子が何かを思い出したかのように声をあげた。そして俺の方を見て続ける。
「芳彦って、確か今日から知り合いの人の家に居候するんだったわね」
「あっ?ああ、正確には、親父の知り合いだけどな。それがどうかしたか?」
「いや、別に大した意味はないけど・・・ただ、何となくよ」
暫く会話が途切れる。と、そこに、待ってました、と言わんばかりに綾乃が会話に加わる。
「そういえば水沢、その親父さんの知り合いってどんな人なんだ?」
「さあな、親父の知り合いなだけだから、俺は詳しく知らないよ」
「ふ〜ん、で、なんて名前のお宅なの?」
「織倉・・・織倉弥生さんっていうんだけど」
「織倉・・・?ん〜・・・」
綾乃が難しそうな顔をする。
「どうした綾乃」「どうしたの綾乃君」
「なあ、1つ質問してもいいか?」
「ん・・・ああ」
「その知り合いの人って、ひょっとして娘さんとかいるか?」
「さあな、さっきも言ったけど、俺は詳しく知らないよ。でも、なんで急にそんなことを訊くんだよ」
「いや、ちょっと気になることがあってな。あまり聞かない名前だし、もしかしたらと思うんだが・・・」
「だから何なんだよ!」
綾乃を問い詰める。
「ああ、実はな・・・」
(キーンコーンカーンコーン・・・)
これからという時に、始業のチャイムが鳴り始めた。
「あっ、もうこんな時間か。悪い、この話はまたあとでな」
「あっ、私も次の時間の準備しなくちゃ」
そう言って2人とも自分の席に戻って行った。


−4−
放課後、私はフラワーショップでバイトをしていた。
だが、いつもなら楽にこなせていることも今日に限って失敗してしまう。
最終的には店の人にも心配される始末。
何度も
「大丈夫です」
と言ったのだが、結局いつもより早く帰されることになった。
帰り道、いつもと違ってまだ明るい。だけど、私の胸の中は曇ったまま。
「はぁ・・・男の人・・・か」
同じ高校に通っているのだから、部活や寄り道でもしていない限り、既に家にいる可能性が高い。
しかもその人は高校3年生、部活などは間違いなくやっていない時期だから、
家にいる可能性が更に高い。そんなことを考えると段々足取りが重くなる。
同じ学校、同じ家、これから約1ヶ月の間、いやでも毎日のように顔を合わせなければならない人。
私は少しでもまともそうな人であることを祈りながら、家への道を歩いていた。
まだ見ぬ人がいるであろう自分の家へ。


−5−
「え〜っと、どこだろう・・・」
学校からの帰り道、俺は今日から厄介になる織倉家を探していた。
地図はもらっているのだが、普段来ないところだけあって分かりにくい。
道行く人に訊くことも考えたが、あまりそれはやりたくないので、自分で探しているというわけだ。
「ん〜、ここら辺りだと思うんだけどなぁ・・・」
1件1件表札を確認しながら探しているのだが、一向に見つからない。
しかし、見つけないと今日は宿無しな上に、居候先にも連絡がいっているはずなので、
居候初日から失踪騒ぎである。迷惑なこと、この上ない。
そんなことを考えながら歩いていて、やっと目当ての家を見つけることが出来た。
「織倉・・・本当にこの家なのか・・・まあ、表札に書いてあるんだから間違いないか」
居候先らしいその家は、思っていたよりも大きくて綺麗な家だった。
(ピンポーン、ピンポーン・・・)
「はい、どなたでしょうか?」
若い女性の声が聞こえてくる。
「あ、あの今日からお世話になる水沢というものですが・・・」
不慣れな言葉遣いだが、出来る限り頑張って口から出した。
「ん、ああ、芳彦君ね。待ってて、直に開けるから」
(カチャ)
扉は開かれた。それは約1ヶ月という短い期間だけお世話になる家の扉。
そして、それと同時に物語は始まりを告げた。
新たな出会い、新たな住居、そして新たな物語・・・。


Fin_


〜あとがき〜

はい、この作品のSSを書くのは初めてなので、よく分からないことだらけです(汗)
一応物語の初めの部分を自分なりに考えながら書いたのですが、どうでしょう?(^^;)
ん〜・・・まだしっかりとキャラが掴めてない感あり(滝汗)
じ、次回があれば頑張ります!!以上!!

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